大局観

羽生善治　著　角川書店　2011/2/10

年齢的に近く、若い時から将棋界で活躍されている著者には以前から興味があった。
彼が普段どのような考えのもとに勝負しているのかが少しでも分かればと思い、この本を読むこととした。

実際、棋士というのは常に何十手先を読みあいながら対局し、過去の棋譜もすべて記憶していて、記憶力においては天才的な能力の持ち主であると勝手に想像していた。


この本を読む中で、そんな単純なものではないことが理解できた。
常に新しいことに挑み続ける精神力、冷静に全体を見極める集中力、練習の積み重ねによる直観力など、年齢を重ねる中で培ってきたものすべてを使って勝負しているということであった。


心に残ったことの第一は、「ブレイクスルー」

あと少しがんばれば、今までとは違った景色を見ることができる次なる目標を設定すること。
目標設定がやはり大切で、"あともうちょっとがんばれば"ということが、重要なのではないか。そこをがんばれるかどうかで、今後の自分が変化していくことになるのであろう。それがなかなか難しいのであるが。。。

第二は、「反復練習」

"これだけがんばったのだから大丈夫"と思えるだけの練習をすることで不安を取り除きくことができる。
常にいろいろなことに不安を抱えている私であるが、自分に自信を持つためにもやはり反復練習を行うことは大切であると再確認した。


第三は、「直観」

ひらめきと直観は同義語だと思っていたが、直観とは様々な経験を積む中で、研鑽された者のみしか働かないということである。
困ったときにパッと思いつくのが閃きなのか、直観なのか。
自分の頭の中で過去の経験をもとに正しい道を選んでくれるような直観が働くよう、経験を積んでいきたいものである。


「大局観」という言葉は、はじめて聞く言葉であったが、このようなさまざまな経験をもとに自分自身で身につけていくものであり、常日頃からの努力、鍛錬が絶対的に必要であることは間違いない。

大局観とは、人生の様々な経験がプラスされることによって、若い時とは違う、経験が加わった大局観を得ることができる。
自分はそのようなものが備わっているのか？
少し不安になりつつも、そうなるべく努力していきたいと思わずにいられない。



2011/10/26　読終


にほんブログ村