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野村克也 著   角川書店(2008/02/10)

 

私は、子供のころからのタイガースファン。 関東地方出身で周りは巨人ファンばかりだったが、なぜかずっと阪神一筋であった。

とくに子供のころは弱い阪神をずっと応援してきて、なぜ弱いのか? ということもよく考えたものである。 実際に自分も野球をやっていたので、戦術的なこともいろいろ考えていたものである。

著者の野村克也氏は、阪神タイガースの監督3年間勤めたわけだが、周囲の期待に応えられるような成績は残せなかった。 ただ、野村氏の野球に対する考え方はとても好きで、この書籍も書店で見つけてすぐに購入した。

内容としては、かなり生々しい阪神という球団の本質が書かれており、一気に読み終えてしまった。

感想としてはやっぱりな、という感じ。 野村氏のあと、星野仙一氏が監督を継ぎ、タイガースを優勝まで導いたわけだが、私は野村氏の3年間があってのことだと思っていた。

星野氏もそのように発言することが多かったが、それは間違いないであろう。

タイガースファンとしてこういう言い方はしたくはないのだが、阪神タイガースの選手は、頭を使うことが苦手であると思っていた。 ヤクルト時代の野村氏の戦術をみてもわかるが、超一流の選手は少ないにもかかわらず、適材適所で選手を使い、何をやってくるかわからない、というイメージを植え付けられた。

ところがタイガースではそれができていなかった。 ただ打つだけ。投げるだけ。 野村監督3年間を見ていて、タイガースはイケイケドンドンの野球しかできないんだろうなぁ、と思ったものである。

タイガースは大人の考え方をできる選手がいなかった。 単純明快な野球しかできないのである。 今を見ていてもはっきりわかる。

ヤクルトのスター選手だった池山は、ブンブン丸といわれ、三振か本塁打かというID野球にはに使わない選手であったが、彼でさえ、ミーティング中、メモを取りつづけ、膨大な量のノートを今でも財産としてもっているそうである。

ところが、タイガースの選手はミーティング中、メモをとる選手は皆無に近かったようである。 お話にならない。 だから今でもここぞ! というときに、何もできず、少し負けが込むとどうにも修正がきかなくなるのだ。

おもしろいエピソードのもう一つに、タイガースの左のエースとして在籍していた仲田投手はFAでロッテに移籍したが、ミーティングの長さの違い、メモをとることの重要性にはじめてきがついたそうです。

タイガースが歴代、どれだけ「知」を無視してきたかがわかるものである。

現在の監督の岡田は、「バントはアウトを一つ相手にあげてしまうのでもったいない」という発言をしていた。 野村氏はそれを聞いて唖然としたそうだが、私も岡田が監督になった時点でタイガースは低迷期に入ると思っていた。

実際は、金本という中心選手がいるおかげで常に上位にいられるが、内容のない試合は相変わらずだ。

ただ、この書籍を読んで一番驚いたのはフロントの考え方。 「優勝すると選手の給料を上げなくてはならない」ということを言っていたそうだ。

野村氏が要望した選手も金がかかると取ってくることもなく、挙句の果てにはドラフトの指名選手も知らされなかったらしい。

それが大きく変わったのが星野氏になってから。 フロントが変わり、星野氏がまたうまく動いたことで、有能な選手を多数獲得できた。 今、タイガースがAクラス常連になれているのはそのおかげであろう。

ただ、岡田監督ではあまりにも非力。 野村氏のように知性があるわけでなく、星野氏のような力量もない。

デコボコだった道を野村氏と星野氏が舗装して、その上を岡田が通っているだけ。。。まるで自分が名将のような顔をして・・・

 

このままではまた元のダメ虎に戻ってしまいかねない。 オーナー、選手、ベンチ、そしてファンが一体となって、タイガースを常勝軍団にしていければよいのだが・・・

 

2008/9/16 読終

 

 

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