人を１０分ひきつける話す力

斉藤孝　著　大和書房（2005/08/30）

仕事柄ここ数年、社内研修の講師を任されている。
人前で話すのが苦手な私も、多少は慣れてはきているが、「伝える」というよりは「終わらせる」という気持ちが強い。
経験を積んできている今こそ、改めて、「人前で話す」ことについて学びたいと思った。

数年間経験して自分なりに得た「人をひきつける」ということと比較しながら読んでみた。
まず最初に書かれている「意味の含有率」。
これは難しい。

「伝える」ことより「終わらせる」だったため、同じようなことを繰り返し話したり、つながりがなかったり。
すべてが大切なことだけを話すと待ち時間ががっつりあまったりしてしまう恐怖も伴って、だらだら話してしまうものである。
時間の使い方はかなり難しい問題である。

次に「あるある感」。
これは自分の経験でも大切であることは実感している。
この「あるある感」を話に混ぜることで、聞く側の意識が変わり、話す側にひきつけることができる。
下を向いていた人がこちらを向く、ということは何度も経験している。
聞く側のキャリアや年齢によって、食いつく話は変わってくるので、日頃の情報収集は必要不可欠である。

最後に「ライブ感」。
これは講師をはじめた後、自分が研修を受ける側になった時に感じたことである。
あらかじめ用意されたテキストを下を向きながら読み続ける人は多い。
聞いている側は「そのテキストをくれればいい」と思ってしまう。
自分も最初はこうであった。

講師をするからには、その場の雰囲気は大切で、語りかけながら話すことが必要であり、相手にも伝わる。
わかってはいるが、かなり難しい技術である。
相手に自分の考えを伝え、理解してもらうことは、相手に印象を与えうなずいてもらうことだと思う。
「ライブ感」は一番大切なことなのかも知れない。

自分の経験と照らし合わせて読み進めてみたが、後半の「トレーニング」については自分なりに考えてみようと思う。
「話す力」は経験が第一。

常日頃から意識をしながら、「話す力」を養っていこうと思う。

2012/1/27　読終